常流と射流/環境の大学 >水理学>常流(subcritical flow)と射流(supercritical flow)

常流と射流
(subcritical flow and supercritical flow)


常流と射流とは、ものすごく簡単に言うと流速が波よりも遅い流れを常流と速い流れを射流といいます。では、基準となる波の速さはというと実はは簡単に求めることができます。波の速さを $c$ [m/s]、水深を $h$ [m]として

$c=\sqrt{gh}$
で求めることができます。つまり、水深がわかれば波の速さなんてすぐわかるということです。(海の平均水深は約3800mなんで…津波は大体200m/sの速さで伝わります。)

工学では、「無次元で表す」(これは重要なことです)ということをよくするので、常流と射流の区別も無次元にします。それを、フルード数(Froude number)といい

$F_r = \frac{v}{\sqrt{gh}}$
と表されています。$F_r >1$であれば常流、$F_r < 1$であれば射流になります。じゃあ、$F_r =1$となるときはどうなるのでしょうか?$F_r =1$のときの流れを限界流といいます。

限界流(critical flow)の特徴は、ある流量$Q$を流すのに最小のエネルギーで流せるということです。したがって、限界流の水深(限界水深(critical depth))や限界流の流速(限界流速(critical velocity))を求める必要があります。限界水深、限界流速を求めるには流量を $Q$ [m^3/s]、水路幅を $b$ [m]として

$h_c = \sqrt[3]{\frac{Q^2}{gb^2}}$
$v_c = \sqrt{gh_c}$
で求められます。

では、限界水深の式を導いてみましょう。話を簡単にするために水路の勾配を小さい($i\le 1/20$)と仮定しています。

限界水深を導くには比エネルギー

$E=h+\frac{v^2}{2g}$
というものを利用します。これは、ベルヌーイの定理を水底を基準面として水面に適用しただけです。この $v$ を流量 $Q$ と流れの断面積 $A$ を用いて書き換えてやると
$E=h+\frac{Q^2}{2gA^2}$
となります。

限界水深では、ある流量を流すエネルギーが最小になることから、上の式を $h$ で微分したとき $dE/dh=0$ となる点が限界水深を表すことになります。そこで上の式を $h$ で微分すると

$\frac{dE}{dh} = 1-\frac{Q^2}{gA^3}\frac{dA}{dh}=0$
となります。ここで、 $A=bh$ となっていて $A$ は $h$ の関数であることに注意してください。

$A=bh_c$ と置き換えれば

$1-\frac{Q^2}{gb^2h^3 _c}=0$
となって、 $h_c$ について整理すれば
$h_c = \sqrt[3]{\frac{Q^2}{gb^2}}$
を導くことができます。ちなみに、
$E=h+\frac{v^2}{2g}$
に $h=h_c$ として $v=\sqrt{gh_c}$ を代入すれば
$h_c = \frac{2}{3}E$
となります。結局、比エネルギーの2/3が限界水深なんですね。


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