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拡散方程式の解

一次元拡散方程式の解を求めていきます。解を求めるには、初期条件、境界条件を決める必要があるのでまずはそこから確認しましょう。まず、初期条件は時間$t=0$のときに位置$x=0$の位置で物質量$M$(質量)が放出されたと考えます。これがどの様に拡散していくのかを求めていきます。境界条件については特にありません。

拡散方程式の解として求めたいものは濃度です。その濃度は質量、時間、場所、拡散係数に依存します。したがって、解の大まかな形としては

$C\left(x,t \right) = f\left(M,x,t,D \right) $
となると考えられます。ここで、バッキンガムのパイ定理を考えると
$\pi_1 = \frac{C\sqrt{4\pi Dt}}{M}$
$\pi_2 = \frac{x}{\sqrt{4Dt}}$
の二式を用いて表すことができるということでした。そこで、普通に考えれば
$f\left(\pi_1 , \pi _2 \right) = 0$
となるところですが、最終目標は$C$を求めることと決まっているので
$C\left( x,t \right) = \frac{M}{\sqrt{4\pi Dt}} f\left( \frac{x}{\sqrt{4Dt}} \right)$
と表現できます。ここで、$X=x/\sqrt{4Dt}$とおくと
$C\left( x,t \right) = \frac{M}{\sqrt{4\pi Dt}} f\left( X \right) $
になります。

拡散方程式は

$\frac{\partial C}{\partial t} = D \frac{\partial ^2 C}{\partial x^2}$
でした。左辺と右辺の偏微分のところだけ先に計算すると
$\frac{\partial C}{\partial t} = \frac{\partial C}{\partial X} \frac{\partial X}{\partial t} = - \frac{MX}{2t\sqrt{4\pi Dt}} f'\left(X\right) $
$\frac{\partial ^2 C}{\partial x^2} = \frac{M}{4Dt\sqrt{4\pi Dt}} f''\left(X \right)$
となります。これらを拡散方程式に代入して整理すると
$2Xf'\left( X \right) + f''\left( X \right) = 0 $
となるので、この微分方程式を解くと
$C = C_0 e^{-X^2}$  ($C_0$:積分定数)
と求まります。これを$x$について$-\infty$から$\infty$まで積分すると$M$になるはずなので
$\int ^\infty _{-\infty} Cdx = M$
を計算すれば$C_0=1$とわかります。結局、一次元拡散方程式の解は
$C\left( x,t\right) = \frac{M}{\sqrt{4\pi Dt}} e^{-\frac{x^2}{4Dt}}$
になります。この式では、$x=0$で最大値をとり、偶関数で左右対称になり、$x=\pm \infty$で$C=0$になり、$t=\infty$で$C=0$に漸近することから大まかな条件は満たしているように思えます。しかし、$t=0$のとき$C=\infty$になってしまいます。そこで、$t=0$のときだけディラックのデルタ関数を利用して
$C\left( x,0 \right) = M \delta \left[ x-0 \right]$
とします。


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