>生態学>磯焼け

磯焼け

海中にも林のように海藻が多く生えている場所があります。それは海中林と呼ばれていて非常に生産性の高い場所です。海中林ではアラメやカジメなどの海藻が代表的です。その海中林は海藻の漁獲場、アワビやサザエの餌場、生物の産卵場、海中での光合成、窒素・リンを吸収して水質浄化、多様性の維持など多くの役割を備えています。

この海中林が自然になくなってしまうことを磯焼けといい、人為的な要因でなくなってしまうことを特に磯あれといいます。どちらも磯焼けとして扱われることが多いので、ここでも名称の区別はせず全て磯焼けとします。磯焼けの具体的な要因は以下のようなものがあります。

○環境の変化

・海況変動(水温・栄養素・波動など)

・一時的な環境変動(津波・火山爆発・洪水による大量の淡水流入など)

○生物の影響

・植食動物の摂食圧

・サンゴモによる他の海藻への着生阻害

○人為的な要因

・過剰な収穫

・海水汚濁による透明度の低下

・浮遊性の懸濁物、漂砂、土砂の影響

・鉱山、工場からの排水

・重油流出

・生活排水など界面活性剤の流入(?)

・農薬(除草剤)などの流入(?)

・酸性雨

(?)がついているものは原因としてはっきりしていないものです。

磯焼けの流れは
1.アラメ、カジメなどの海藻が消滅
2.サンゴモが優占する
3.サンゴモも死滅し黄色の付着珪藻が卓越
4.餌を失ったアワビ、サザエが死亡
というものです。こうなってしまった後は環境が悪化していく一方になります。磯焼けの対策としてずいぶん前から藻場の造成が行われています。

磯焼けは海中の砂漠化です。陸上だけでなく海中でも植物が減少しているという事態を多くの人が認識しなくてはなりません。藻場の造成は大掛かりなものが多く、お金もそれだけ多く必要になります。だから、水を大切に利用して磯焼けを起こさない環境づくりをみんなでしていきましょう。


[ページの上へ] [環境の大学~環境を学ぶ~]