今回は、(1)空気線図の熱水分比の使い方と(2)冷却コイルで冷却したときの状態変化についてやっていきます。これで、空気線図の項目は最後なのでがんばってください(^^)
(1)空気線図の熱水分比の使い方
まずは、熱水分比って一体なんでしょうか?読めばわかりますね…簡単に言うと、熱と水分の比です。でもこれでは使い物にならないんで、厳密には熱量の変化量と水分量の変化量との割合なんです。それほど変わらないですね…。
では、熱水分比をいつ使うのかということですけど、ここもまず図を見てください。下の図です。
左から空気1が入ってきて水もしくは蒸気にさらされて空気2として出て行く状況を考えます。この図を見たときに、「どこかで見た」と思った人はこのサイトをよく見てくださっている方ですね(^^)ありがとうございますm(__)m
この図は、空気線図(2)の断熱変化のときと同じなんです。でもこれはサボったわけではなくて、考える状況は同じなんです。違うことは、吹き込む水の温度が違うということだけなんです。
ここでは、実際は他の装置で加熱、冷却をするのですが図ではそれを描いていません。加熱、冷却を考えたとき熱水分比は
では、空気線図に図を書き込んでみましょう。まずは、完成型の図です。
この空気線図の描き方は、熱水分比がすでに求まっているので、それを左上の半円にしるしをつけ基準点とつなぎます。それと平行な線を1を通るように引きます。出口空気の絶対湿度がわかっていれば、平行線が出口空気の絶対湿度になる点が2になります。
(2)冷却コイルで冷却したときの状態変化
いよいよ空気線図の最後の項目です。ここで学ぶことはバイパスファクタ(BF)とコンタクトファクタ(CF)です。これは、冷却コイルを空気が通過するときに冷却コイルに接触しない空気か接触する空気かということです。つまり、コイルに接触せず素通りしてしまう空気をバイパスエアといい、その割合をバイパスファクタといいます。コイルと接触して冷やされる空気をコンタクトエアといい、その割合をコンタクトファクタといいます。
BFとCFを空気線図上で表すとどうなるかを図で示します。
空気1が表面温度 $t'_s$ の冷却コイルを通過して空気2になります。このときの線分の比がBFとCFです。バイパスファクタは冷却コイルの構造によって大まかに決まります。
BF≦0.3 と覚えておけばいいでしょう。設計では通常、空気2を相対湿度90%として設計します。
以上で空気線図は終了です。次の項目では、冷房、暖房の設計をします。空気線図が実際にはどのように使われているのか見ていきましょう。